はじまり
まずはじめに音楽にのめりこんだきっかけになったジャンルとかあるんですか?
Ohkuma最初はスカですね。18歳とか19歳のころかな、だから1997年とかそのぐらいですかね。もともと中学生のときから知ってた友人なんですが、そのぐらいの時期にそういう音楽に関して教えてもらったことがあって、そこからはまってしまって。スカと言ってもジャンル的には当時好きだったのは、まだオーセンティックなジャマイカのスカとかではなく、ネオ・スカとかそっちですね。スペシャルズから来ているようなタイプのスカですね。当時聴いていたようなスカは、やっぱりまずロックみたいなバンド形態でもなくホーンが入っていて、その特殊な感じが気になったのがはじめの気がします。ジャズの感じでも、ロックの感じでもなくて不思議な感じがしたという。そこからネオ・スカをいろいろと追い始めて。
当時だとちょっとスカコアみたいなものも流行ってましたよね。
Ohkuma自分は、そっちには行かずに、ネオ・スカからオーセンティックなオリジナルのスカに行ったという感じですかね。やっぱり〈クラブ・スカ〉とかは行ってましたね。そうこうしているうちに今度はそこからオリジナルのスカに行って、さらにレゲエに行きついてという感じですね。
ドラムに関して、例えば中高生の頃にやってたとか、そいういうのはあるんですか?
Ohkumaいや、ドラムをはじめたのはむしろもっと後ですね。ドラムの前に、仲間内でやってたスカのバンドでトロンボーンをやってました。それは20歳ぐらいの頃かな。そこからドラムをやるのはもう少しあとでSoul Dimension のとき。Soul Dimension がドラムはじめたきっかけで、バンドをスタートさせたのは平成15年だから、2003年ぐらいかな。
え、ドラムはSoul Dimension をはじめたのがきっかけなんですね。驚きです。少し話は飛ぶかもなんですが、Soul Dimension をはじめたきっかけというのはあるんでしょうか? 当時の状況としてはドライ&ヘビーとかカルチベイターとか、わりと生のダブ・バンドが活動していた時期ですよね。
Ohkumaそういう動きの影響はやっぱりありましたよ。ドラヘビ、カルチも影響はあったと思いますね。ライヴも行ってましたし。
そこで自分たちもやってみようと?
Ohkumaそういう感じだと思います。
Soul Dimension には、オオクマさんの他に、Jagabe(Soul Dimension の他に、その後、Reggaelation independAnceなどで活躍)さんとかがいらっしゃってという感じだと思いますが、どのようなつながりの人たちだったんですか?
OhkumaJagabeは、一番関係が古くてSoul Dimension よりも前に知り合っていて。さっき言ってたトロンボーンをやっていたスカのバンドの話をしましたけど、その頃からの付き合いで。基本的には、そういうスカとかレゲエとかの音楽の好きの友だちという感じで出会って、バンドをやって、Jagabeに関してはそのまま一緒にSoul Dimension に進んでという感じですよね。Soul Dimension は、その前身というかすでに他の人たちがなんとなくバンドをやっていて、僕とJagabeがそこに入っていくという感じですね。
スカから、ルーツ・レゲエ~ダブを選んだきっかけは?
Ohkumaもともとスカを聴いていた時期から、どちらかと言うとメジャートーンの楽曲よりも、マイナー調の楽曲が好きで、その延長線上でルーツ・レゲエに行って、そしてダブにハマってしまったという感じですね。
レゲエのドラムのタイム感とかって、わりと独自のモノだと思うんですけど、どうやって体得していったんですか?
Ohkumaうーん、とにかくライヴのビデオを観ることからはじまって、あとはもう延々とレコードを聴ききながらという感じですね。
でも当時Youtubeもあるわけではないのでかなり映像も貴重ですよね。
Ohkumaそう、とにかくブラック・ウフルのビデオが1本あって、それをよく見てたぐらい……あとは本当にレコード。
ブラック・ウフルということは、バックがスラロビの映像だと思うんですけど。でも、基本的に当たり前ですけど、ライヴの映像ってシンガーやバンド全景がメインで、スライが写ってるところなんて一瞬ですよね。
Ohkumaもう、そのところだけ凝視して。でもあとはやっぱりレコードを聴いて反復練習という感じですね。
まさに「身体で覚える」というところでしかないですけど、苦労した部分とかはありましたか? それとも思ったよりも自分に合っているとか?
Ohkumaなんとなくなんですけど、これは自分に合っているのかもというのはなんかあったのかもしれないですけど、それもどうなんでしょうね。むしろそれよりも、スネアをミュートするのにどうするとか、逆にミュートしないとか、そういうドラムの音色の部分はすごくいろいろと実験した記憶はありますね。レコード・ジャケットのドラムセットみたりとかして。
Soul Dimension とUndefinedの他にドラムは?
Ohkumaほぼほぼしてないと言っていいですね。
さきほどチラッと当時のSoul Dimension の曲作りはオオクマさんがほぼやっていたということなんですが他の楽器とかもやるんですか?
Ohkumaいやいや、当時は全部打ち込んでデモを作ってましたね。それを持っていてみんなに聴かせてという感じで。基本的には全部打ち込んで……といってもドラムを打ちこんで、ベースラインを打ち込んで、あとは裏打ちを入れて……ぐらいのものですよ。曲作りといっても、それをスタジオに持って行って「さぁやりましょう」っていうぐらいのものですけどね。
打ち込みは? MPCとかですか?
Ohkumaいや、YAMAHAのQYシリーズですよ。あれで作ってましたよ。
おお、ここにもQY使い。QYは本当に名機ですよね(YAMAHAのQYシリーズ、音源付きのコンパクト・サイズのシーケンサー。こだま和文も2000年前後のソロ名義の作品のトラックはすべて、そのQYシリーズで作っていた。詳しくは当コーナーのインタヴュー・ページにて)
Ohkumaあれで全部打ち込んでましたね。もちろんデモですけど。Soul Dimension に関しては、打ち込みのバンドでもないから、打ち込むときの音色は気にしなくていいから充分というか。それで作ったトラックをデモというかガイドにしてバンドで練習をするというスタイルで。
Soul Dimension に関してはアルバム『Dawn』を2007年にリリース、その後は2012年にJagabeさんのレーベルから7インチを1枚という感じだと思いますが、現在活動はしてないですよね?
Ohkuma解散はしてないけど、やってないという感じですね。まぁ、でも結果的にはそうなったというぐらいで、なにかもめごとがあったとかというわけでもなくて。なんとなくいまに至ってしまったという。
Soul Dimensionがあの時点で『Dawn』をリリースしたのは?
Ohkuma当時〈FILE RECORDS〉にいた、(堀井)ヤスさんが「やるか!」といってくれたのがたぶんきっかけだった気がします。
当時『remix』の編集部にいたときにヤスさんがプロモーションにいらしゃってたしかレヴューしましたよ(笑)。おもしろいステッパーのバンドがいるという感じでプッシュされてましたよ。そしてさっき言ったように2010年を超えるぐらいにライヴが鈍化していってというところのようですね。