newdubhall is a sound label since 2017. experimental dub music from the far east.

talking place BS0インタビュー:〈後編〉 ─ ローカルを結ぶ、現場主義なベース・ミュージック・コミニティ ─

talking place#05
with BS0

Think Local

ブリストルの音楽の魅力…… ってもう飯島さんなんて何万回って聞かれていると思うんですけど。

一同

E-JIMAやっぱりいろんなジャンルがサウンドに混ざってるところと、そしてサウンドに関係なく、人と人がつながっているところかな。それは世代も含めてみんなぐちゃぐちゃになっているところが面白くて。ブリストルの音楽がそうだから、そうなったのかもしれないけど、僕はそういうところがやっぱり好きなんですよね。日本もそういう風になった方が絶対におもしろいと思ってて〈BS0〉とかやってます。

1TAあのちょうど良い街の規模感とかも関係しているとは思うんだけど。

DxあとはDIY感とね。

E-JIMAそう、それはあると思う。

1TAブリストルへ行くと、どかんと大きく「Think Local」って書いてあるグラフィティがあって。街にはもちろん、テスコーー日本で言うイオンみたいな、チェーンのスーパーもあるんだけど、個人商店を大事にしようみたいな感覚をグラフィティとかで表現していて。ブリストルのそういうローカルの大事なものをキープするっていう精神に感化されていると思う。ジャンルが違ってもローカルだから仲が良いとかね。

E-JIMA 自分たちを向上させようとは思っていても、必要以上に大きくしようとは思ってない人たちなんですよね。 「売れたい」とかね。そういう感覚の人たちをディスるわけではなくて、自分たちのやり方として目指しているところはそこなんですよね。楽しくやって、良い音楽シーンを作るというか。

Dxやっぱり身の丈感というかね。

E-JIMA僕らが追い求めている音楽は、冷静に考えてひとつの地域で1000人が聴く音楽でもないですしね。100~200人とかで楽しめるシーンをちゃんと作るというか。

そういう意味では来日招聘時にやっている地方ツアーもまさに「Think Local」をネットワークとしてそれぞれの地域で根付かせるというポリシーに即していますよね。

E-JIMA完全にそうですね。

1TA地方から注文しているZEROのお客さんだったりするんですけど、やっぱりそういう感覚を共有してつながっている人たちが多いですね。

Dxでも交通費とか宿泊の経費というのが、ある意味で一番馬鹿らしいから、地図を見て「高崎の次は金沢かな」とかみんなで考えて声かけてるよね。

1TAそれぞれの地方が無理のない範囲でできる様に組もうとするとそういうところが大事になってくるからね。

E-JIMAそうやって組んで、地方同士でツアーのなかでつながってくれるとすごいうれしいですよね。そういえば僕らが前に呼んだアディソン・グルーヴが今度また3月にくるんですけど、今回はそのときに高崎で呼んでくれていた人のところに話がきて、そこから〈BS0〉と一緒にやった地方の人たちとつながっていくということが起こっていて。

1TAそういうことがこっちからすると成功っすよね。勝手にやってくれるようになるっていう。

E-JIMAあとはやっぱり人柄もあると思う。〈BS0〉の前に、ロブのツアーとかもやっていて、ロブの人柄があったから、例えば静岡のラジシャンみたいなところを理解してくれて、ギャラの面とかでもそういうところも行けるようになってて。あとはある意味で良かったのがカーン&ニークが第1回目だったというところ。彼らはエージェントがしっかりしているから金銭面でシビアなんだけど、それをちゃんとこなせたのでむこうで〈BS0〉の名前が広がったというのはあったんですよね。

Dx僕らのこういう考え方、例えば大きなクラブで東京だけで、1000人単位のお客さんでやる楽しさもあるけど、さっき出た静岡のラジシャンみたいなローカルなところとか、地方の都市に行ける楽しさもあるだろうなって。それを理解してもらって、形になったということだと思う。

1TAはっきりいってヨーロッパだとフェス・クラスのDJたちなんだけど、そういう企画をちゃんと理解してくれて乗ってくれたのがうれしかったですね。

Dxなおかつ飯島さんの家に泊まるっていうね。

Osam民宿ZEROですね(笑)。

1TAそういう規模感におもしろさを感じてくれてくれるアーティストたちということだよね。

ブリストルというローカル、日本のなかの各地のローカル、それをつなげるというのが〈BS0〉のコンセプトとしてある。

Dxそういうことだと思う。

今後の計画

次は計画的にはあるんでしょうか?

1TA次は決めてるんだけど、まだ体制が整ってなくて(笑)。わりといろんなところで名前が出ているので知っている人は知っているというか。

E-JIMA去年は僕らのなかでおとなしい1年だったんですけど、みんなそれぞれの活動があって〈BS0〉をやろうという感じにはならなくて。

1TA無理してやらなくてもいいっていうね。

自分たちのコントロールが万全にならないぐらいなら無理してやらないっていう。

1TAそう。

E-JIMA呼ぼうと思っている相手には「忘れてないよ!」って適時フォローいれてて。向こうも「絶対行くから」って。

1TAタイミングを見計らってるんだけどね。

E-JIMAいままでと全く同じようにはしたくないというところもあって、なにか良いアイディアを新しく足したいなというのもあってね。見せ方とかに。

1TA自分たちのなかのワクワク感がちゃんと出るようなアイディアをまっている感じはあるかもね。

Dxわりとパーティ・メイクするというのは、いまやらない人も多いからね。

1TAオーガナイズみたいなところがしっかりやる裏方がいる方がおもしろいぞというかね。

E-JIMA役割分担というか、自分がDJをやらなくなったのもそういうところがあって。DJはDJ、ライターとか、役割があって僕はレコード屋としてちゃんとやってシーンに関わろうと。自分が出なくても、イベントをやるだけでも楽しいんだぞっていうのを思ってくれたらうれしいなと。

1TA足りないモノを埋めてくみたいなところにおもしろさを見いだすことが自分は多くて。そうするためにはどうしようかとか考えたいしね。

多角的な目線ですね。

E-JIMAおじさんならではの目線ですよね(笑)。経験は無駄にしないっていう。例えば若い世代の人には、どんどんそういうところは盗んで、自分たちのスタイルでやって欲しいですよね。

1TA僕らはイベント屋さんではないしね。

Dxもうね、俺なんか最近、モテたいすらなくなってきたからね(笑)。

そこっすか(笑)。

Dxあ、それは〈BS0〉じゃなくて、個人的な見解か(笑)。

でも倉島さん、東京のシーンで大事な存在じゃないですか。やっぱり混ざるにも、混ざりに行く目印にする支柱がないと。

E-JIMAレジェンドですよ。

Dxわかりました、今年のテーマはレジェンド感を出すですね(笑)。

E-JIMA倉島さんのDJはやっぱり東京っぽいというか。トラックも作っているけど、やっぱりDJというか。DJダイとかロブとか本当にすごいって、そうやって海外の人たちが来てもみんな驚きますからね。

2019

最後に、2019年、このあたりがおもしろくなってくるみたいな見通しみたいなのがあったりしますか?

1TA個人的には〈BS0〉とちょっとトピックが離れちゃうんですが、もうちょっとローカライズなもの、周りの人たちとおもしろいことができたらなと。年末にやった〈TOKYO DUB ATTACK〉なんかもそうだけど。

Dxそういう成功も見ていると、日本のDJだけでバシっと〈BS0〉やって集客して形にするみたいなのはひとつの終着点というか、ひとつのステップとして大きいかなっていうのはみんなと話していたことはあるよね。

1TAせっかくいい素材もあるから身の回りのことで盛り上げたいっすね。

Osam自分は次の動きが生まれたら生まれたで、どれだけ頑張れるかしか考えられないかな。

Dxそういえばサウンドシステムで言うと、eastaudioのサウンドシステムというのがあって、自分たちのシステムを持っていないのが逆にすごく良いのかなと。みんなが集えるものというか。サウンドシステム・カルチャーが地方でもすごく増えてて、いま見えるものとしてすごい良いなと。

1TA東京の場合は、そうやってそれぞれの役割のあるパーツがあって、いかにユナイトしていくのかというのがあると思う。それが東京のおもしろいところであり、〈BS0〉という集団にはそれがあると思う。

E-JIMA音に関しては生き物だから、傾向とかはわからないですけど。活動としては、もっとパーソナルになりつつ、やったことを残してつながっていく、途切れなくつながっていく感じをやっていきたいですね。そういう世代の伝承が、なくても良いけどあった方がおもしろいと思ってやってきたので、自分たちもそうしたいですね。あとは2018年は過去を振り返るモードが少しあったんだけど、それは単に懐かしむじゃなくて、ちゃんと過去から新しいものを見つけられる、それがいいなと思っている。

1TAブリストルという街のシーンもそうで、ロブとかダイがいて、その下にピンチやペヴァリストたちがいて、さらにその下がいてという継承があるというか。そういうシーンのなかで、ピンチやペヴァリストがスミス&マイティーの未発表曲集を出すとかいいですよね。

E-JIMAそれがよくある「●●周年企画」とかじゃなくて、下の世代からの新しい視点でちゃんと音楽的に意味が出てくるというか、そういうことですよね。

location:下北沢「宿場」
interview date:2019.01.12